上下巻ですが、幼児の部分は上巻に載っています。世界で最初の幼稚園(キンダーガルテン)で有名なフレーベルですが、この本では小中学生にあたる年齢のことの方が分量としては多いです。
幼児の部分は、乳幼児がどのように世界と出会って、それをどのように導いてあげればいいか、ということがつらつら書かれています。不思議と、自分も赤ちゃんの気持ちになれます。
語りかけのことも書かれています。語りかけといえばサリー・ウォードが有名ですが
私はフレーベルを読んだ後の方がうまく語りかけられているかな、と感じました。サリー・ウォードのこの本は読みやすいですし細かいですが、フレーベルの方が内側から理解できるな、と思いました。
でもすごく読みにくいです。
「こうして、この神聖なものを、けがれた眼によってけがさせないために、愛児を抱いて、はずかしげににこっそりとひきこもる素朴な母親こそ、わが子の感覚や四肢をすべて十分に働かせてやろうと、最も自然な方法で、努力しているのである。」
こんな調子です。
下記は、幼い子を連れて働く大人の良い行為と悪い行為を書いたものですが、
「われわれは、われわれの子どもたちが、考えることも働くこともせず、したがって死んだような状態のまま、われわれのまわりをうろついているのをそのまま放任しているが、このようなわれわれこそ、ぜひともこの言葉(「ものをよく考えるように子供を導く」)に耳を傾け、それに注意を払うようにしたいものである。」
私は保育園の午後や、学童保育がこのように見えていますが、実際どうなんでしょうか。
フレーベルは不遇な幼児時代を送ったようです。母親を乳児の時に亡くし、継母からはあまり愛されなかったそうな。やわらかで優しい母親の描写がよく書かれていますが、理想の像だったんでしょうか。
封建的な描写が多数ありますが、18世期ドイツはナポレオン戦争後人権と自由が持ち込まれた時代のようです。それとは別に、子を連れて父親も働くわけで、昭和の専業主婦時代を経て、共働き時代(子は籠の中)の今より男性は育児をしているように見えます。
恩物について知りたかったので借りてはみたものの、全く書いていません。どうも、その後に書いた『で述べているようです。
2020.4.26